あまい りんごの にがい 思い出

あまい りんごの にがい 思い出

モロゾフはもちろん、子供の頃から知っている。
ただ、なんとなくだけど、実は苦手なブランドだった。
なんでだろう?
きっと誰だって知っている、老舗の洋菓子屋さん。
本当に、なんでだろう??

思い起こすと、祖母がモロゾフのリンゴのチョコレートが大好きだった。
甘いスイートチョコレートで、糖蜜漬けりんごを包んだもの。
ツヤツヤと光るきれいな包装紙のラッピングのそれを
チューリップやひまわりではない、名前を知らないお花が描かれた
上品なカップでコーヒーを飲みながら
くるくると包みをひろげ、
ゆっくりと中のチョコレートを取り出す
中のチョコレートの正体はとても気に入なっていた、もちろん。
でも、それは大人になってからでないと食べてはいけないのかな、と思っていたし
それに私は中身よりも
その包装紙をきれいにじゃばら折りにするのが好きだった

そんなある日、ほんの出来心が静かに爆発してしまった。
ついに私はそのツヤツヤの包装紙を開いてしまう。
祖母のように、ゆっくりとお上品に開くことはできない。
勝手に食べているのを見つかったら怒られちゃうかも、という不安と
早く食べたい!という我慢できない気持ち。
この時点でりんごのチョコレートを口にする資格は到底なかったのだけれど、
口に入れた瞬間にびっくりした。

美味しくない。
美味しくないというか、まずい!嫌い!
頑張って飲み込もうと思い
いつも大嫌いなキノコを食べるところと同じ場所、
口の中の右奥スペースまで追いやって見たけれど
無理!嫌い!キノコくらい嫌い!
後ろめたさを感じながらティッシュに包んで捨ててしまった。

とにかくびっくりしたのだ。
チョコレートの中身といえば、LOOKのように違う味のチョコが入っているか、
カリカリかトロッとしたキャラメル、
それか大好きなピーナッツやアーモンドだと思い込んでいた私には、
にゃりっとしたグミのような食感のフルーツ、
-しかもとびきり甘い! が衝撃だった。
なるほど。モロゾフがなんとなく苦手だった理由はこれか。

きれいな花には棘がある、ではないけれど
可愛いものの中身に気をつけよ、は私のトラウマになり、
そして教訓になり、30歳になった。
30歳になった私は砂糖漬けフルーツもチョコレートも、
一緒になったオランジェットも、大好き。
ただ単に子供の味覚に合わなかっただけで
大人になった今はりんごのチョコレートも美味しいと思える。

それでも「可愛いものの中身に気をつけよ、」は残っていて
(一時期可愛いもの、ひと の中身に気をつけよ、にアップデートされていたけれど。
そんなことなかったな、とガラスのハートの青春時代を思い返します)
過剰に手の込んだパッケージの中身に期待をしすぎて
なんだか少しだけがっかりしてしまったことが何度か。

このパンジーの愛らしいデザインの箱に入れられた
「中身」は味まで愛らしい。
ミルフィーユはこうじゃなくっちゃね、という
サクサクのゴーフレット生地と
ふわっと軽いクリームの層。
そこにピリッと引き締めてくれる硬めのチョコレート。
(ミルフィーユは冷蔵庫でカチカチに冷やすのが好き)

今、気をつけなくてはいけないのは体重かもしれないな。

fioretto millefeuille chocolat

モロゾフの
「フィオレット-ミルフィーユショコラ」
チョコレート、ストロベリー、オレンジの三種類がお行儀よくひと箱に。