SKIP COAT
(5 to 11)
朝の5時から 夜の11時まで 別にそれ以外の時間でもいいけれど 一人だと少し怖いから 散歩の時間はこの間で ポケットに詰める葉っぱたち ひらひらと気づけば コートの襟にもついていた 枯葉の絨毯を レッドカーペットに見立てて くるくると踊りたくなるコート 踊るのが恥ずかしければ 控えめなスキップでも 昼は日差しが当たってあたたかい 日が落ちて 凍えるような寒さになってきても 大丈夫 首をふんわりと包んでくれる 大きな大きな襟 マフラーを忘れても平気 外にずっとでていられる
SALOPETTE PANTS
(散歩に出かける)
涼しさを与えてくれた緑の葉っぱたちが おめかしをはじめ色付きだし やがて ふかふかのじゅうたんに変わります 燃えるような真っ赤なもみじ 見るだけで優しい気持ちになれる いちょうの柔らかいイエロー 靴の裏でコロコロとしたどんぐり なんだかくすぐったいな 美しい景色が 肌をなでる少しひんやりとした空気が 主役は私ではない、 彼らの方なのだと 感じさせてくれる 彼らの邪魔をしないように でもじっくりと、見たいから ひっそりと控えめの色でお散歩する 子供の頃 たくさん歩く日はスカートではなく サロペットだった これさえ履けばどこまででも 散歩できる気がした 日が暮れ出して 指先がかじかんできたら ポケットに手を突っ込んでしまえばいい 今日は疲れてもタクシーには乗らない 寒かった、と言いながらドアを開け ちょうど湧いたところの あったかいお湯に浸かる